つぶやき
Blog
つぶやき
年取りのごっつぉう
2024.12.29
恵那市移住定住アンバサダーの西村知穂です。
早いもので今年もあとわずか。皆さんは、年末年始、どのように過ごされますか?
恵那市に移住して約3年。
今年は恵那での4回目の年越しとなりますがこちらに来て、恵那をはじめとした東濃地域では「年取(としとり)の煮物」という正月料理があることを初めて知りました。
「年取の煮物」の由来は、昔、年が明けると全員が一度に歳を取るとされていたことから、誕生日であるお正月に、そのお祝い膳として食べられていたもの
↑「年取りのごっつぉう」
根菜類を中心とした具材を、おめでたい数字とされている奇数で揃え、たっぷり作って大晦日から新年にかけて食べられているそうです。
地域によってこの「年取の煮物」のことを、年取りのごっつぉう とか、ごった煮、こくしょ、筑前煮、だごさい、えびす煮など、呼び名が変わるとも聞いて興味津々。
特に「おごっつぉ~」という呼び名は、お正月らしくて良いですよね~
私の地元である三重県志摩市ではなかった食文化だったので、恵那についてもっと知るために、恵那の農業女性グループを講師とし、年間を通して恵那の伝統的な郷土料理を学ぶことができる「恵那の味・伝承講座」に参加させていただき「年取の煮物(年取のごっつぉう)」と、恵那の飯地、中野方、笠置の笠周地域で主に作られている「スルメの麴付け」や「芋もち」などを作りがら、農家の暮らしの中の食について教わってきました。
それにしても、受講者の皆さんの手際が良くてびっくり!
お聞きしたら、この「恵那の味・伝承講座」に参加されているのは、地元の主婦の方で、よくある料理教室とは違い、作り方を学ぶというより、恵那の食の背景にあるものや、他のご家庭ではどんな風に作っているのか情報を得たいと思って受講されている方が多いとのこと。
「年取りのごっつぉう」作りにおいても、レシピはあるものの、野菜の切り方は自由で、地域や家庭によって、扇形や乱切り、輪切りなど様々だったのが面白かったです。
ちなみに、この「年取りのごっつぉう」、お正月の3日間は、お嫁さんが台所仕事をせず、少しでも楽に過ごせるよう大きな鍋に沢山作るとのこと。
たっぷり作るのには、そんな気遣いが込められていたんですね~ということで、最初は薄味にし、毎日、煮なおしていくたび、美味しくなっていくそうですよ~!よく考えたられたお料理ですよね。
また、「芋もち(芋ごねもち)」は、里芋とお米を一緒に炊きよく潰して小判型に丸めたお餅で生姜だまりや味噌だれをつけて焼きます。
ポイントは、五平餅のように、下焼きをすることだそうで、食欲をそそる香ばしい匂いが充満していました。
↑「芋もち」
ちなみに、この「芋もち」は、もともと、お米が不作な地区ならではの「かさ増し」が目的で作られたもので、気候に左右されず豊作が期待できる里芋を混ぜたことが始まりと知りました。
そして、私が恵那に来て「こんなに美味しいものがあるのか!」と感動した「スルメの麹付け」♪これが、お酒のつまみに最高なんです。
こちらは、海から遠い山間の恵那では貴重だった海産物を大切に、そして美味しく味わうための知恵として受け継がれてきた保存食なんですが、スルメを漬け込んで作られることにビックリしました。
というのも、私の故郷、三重県志摩市は、魚介類はそのまま生で食べることが多かったからなのですが、海産物がなかなか手に入らないこの地域では、雪に閉ざされた期間でも美味しく食べることができるよう、生活の知恵から麹漬けの保存食が生まれ、お正月のごちそうとして食べられていたそうです。
恵那では、このように麹が人々の生活に深く結びついていることから、「発酵のまちづくり」を推進しているんですよ~
「スルメの麹漬け」の材料は、スルメ、甘酒、塩、砂糖、水のみとシンプルで1か月程度漬ければ完成。
焼き方が、各家庭や地域によって違うようで、この日「火が通ればOK」という説明に「え~そうなんだ~」「知らなかった~」という声が。
作り方に正解はないそうですが、より美味しく作るための情報を得ることができて、皆さん、楽しそうでした。
試食させていただいたら、あの固いスルメイカからは想像もつかないくらいの柔らかい食感で、うまみたっぷり。やっぱりお酒が欲しくなりました。
初めて食べた「年取りのごっつぉう」は、野菜たっぷりの優しい味。
肉や魚、お餅といったお正月のごちそうの取り合わせとしても、本当によく考えられていますよね~
芋もちは、モチモチ、ほくほく食感。どこか懐かしさを感じる味わいで美味しかったです。
今も受け継がれている恵那の郷土食。その背景を知ると益々、地域のことが分かって面白いですね。
移住に興味を持たれている方は、まずは足を運んで、その地域の食文化に触れてみてはいかがでしょうか。是非、恵那の郷土食、食べてみてください。