つぶやき
Blog

つぶやき
日本一危険な祭りに潜入!
2025.11.19
恵那市移住定住アンバサダーの西村知穂です。
恵那市串原で毎年11月のはじめに行われている珍しい祭り「くしはらヘボまつり」に行ってきました。

「ヘボ」とは、東濃地方の方言で「クロスズメバチ」のこと。
成虫だけでなく幼虫も「ヘボ」と呼ばれ、特に幼虫は「ハチノコ」とも言われます。
恵那市に移住して初めて知ったのですが、ヘボは昔から山里に暮らす人々にとって貴重なタンパク源であり、採取し、育て、食べるという風習が受け継がれているそうです。
「くしはらヘボまつり」は、全国のヘボ愛好家が自分で育てた自慢のヘボの巣を持ち寄り、その重量を競う「全国ヘボの巣コンテスト」が行われるお祭りです。スズメバチが飛び回ることから、日本一危険なお祭りとも呼ばれています。
そんな危険なお祭りに参加するということで、刺されたらどうしようと心配しまくっていた私。
蜂は特に黒いものに対して攻撃的になる習性があると聞いたので、明るい色の服を身にまとい、帽子も着用して参加。
スタッフの方も、明るいピンクのジャンパーを着て来場者をお出迎えしていました(笑)

まずは、腹が減っては戦はできぬと屋台に向かうと長蛇の列が!

くしはらヘボまつりの名物「ヘボ五平」が販売されていました。

お聞きしたら五平餅のタレにすり潰したヘボが入っているとのこと。

表面に見える黒い粒々がヘボだと分かって、ちょっとひるんでしまいましたが、このヘボ五平を食べるためにわざわざ名古屋から来られていた方がいてビックリしました。

なんと1日で約1000本売れるほど人気なんだそうですよ~
恐る恐る食べてみましたが、ヘボを食べている実感は全くなく(笑)香ばしくて美味しかったです♪

その他、炊き込みご飯の具にヘボが入った「ヘボ飯」も大人気で、訪れた方々は山のごちそうを楽しんでいらっしゃいました。
開会式が終わり、いよいよビニールハウス内で巣の取り出しがスタート。ハウスの外には、巣箱を積んだ軽トラックが所狭しと並び、順番に中に入っていきます。

いろんな巣箱があって面白かったのですが、

アクリル板で中を観察できるようになっている巣箱からは、ひしめくようなヘボの姿が見え、思わず悲鳴を上げてしまいました。

こちらは女王蜂だと愛好家の方に教えてもらいました。よく見ると可愛いですよね~

近年は自然の減少によって蜂も減ってきているので、串原では秋に女王蜂を捕まえて越冬させ、春になったら自然に返し、夏になったらその巣を見つけて人工飼育で育てるなど、ヘボの保護や育成に力を入れているそうです。
ビニールハウスの中では、防護服のスタッフがスタンバイ。

まずは、煙幕で巣箱を燻してヘボを気絶させ巣箱から巣を取り出すのですが、気絶していないヘボがビュンビュン飛び回っているのが分かって、刺されないかヒヤヒヤしながら見物。
見物していたハウスの外にもハチが飛んできて叫びそうになりましたが、よほど刺激をしなければ刺さないと聞いて静かに様子を見守っていたところ、防護服を身にまとった恵那市地域おこし協力隊の下川将さんが登場。

「西村さん、せっかく取材に来たんだから、ハウスの中にも入ってみますか?」と爽やかな笑顔で聞かれ、「それは結構です」と即答しましたが(笑)防護服を貸していただけるとのことで、恵那市移住定住アンバサダーの名にかけて、思い切って潜入してみることにしました。

まるで宇宙服のような防護服に身を包み、いざハウスへ。

自らヘボのいる所に入っていくなんて怖くて足が震えましたが、不思議なことにハウスの中に入ると完全防備であることもあって、それほど怖さはなく、それよりもヘボの巣を間近に見ることができて大興奮。

精巧な作りをしていて感心しました。


そのヘボの巣を特別に持たせていただいたのですが、ずっしり重みがありました。

取り出された巣はこのあと計量に回され、展示・販売されます。
展示会場には、出品者自慢のヘボの巣がズラリ。
なんと、ヘボの巣の単価は、1キログラムあたり10000円!ヘボは高級な食材なんですね~

そのヘボを購入しようと、沢山の人が集まっていたのに驚きました。

そして、会場の一角に、「ヘボミュージアム」なるものがあったので、こちらも見てきました。

このミュージアムは、地元の岐阜県立恵那農業高等学校の皆さんが制作されたそうです。
ヘボの飼育方法や、ヘボの食文化について分かりやすく紹介されていました。

この日販売されていた、ヘボ五平やヘボ飯の他にも、ヘボ朴葉寿司、ヘボ煮つけ、ヘボ成虫のかき揚げ、ヘボちらし寿司などがあるようです。
いろんなヘボ料理があるんですね~

ヘボの巣を手に入れて、巣室から一匹ずつ引き抜くという大変な作業を経て採取したハチノコは、煎ったり、煮つけたりして、ハレの日に食べられてきたことがよく分かりました。
私は、三重県志摩市という海辺の街で生まれ育ったので、こうした山里の食文化を知ることができて、新鮮な驚きがたくさんありました。

ちなみに、この写真は、帰る間際に一匹のヘボが私の顔にピタッととまり、周りの方から「西村さん、絶対に動かないで!」と言われ、ひたすら耐えている様子です^^;
額から瞼に歩いているのに振り払えないのは、正直、生きた心地がしませんでした(笑)
こんな経験なかなかできないですよね~
恵那市でしか味わえないスリル満載なお祭り「くしはらヘボまつり」は、例年11月初旬に行われます。
次回の開催をお楽しみに!



